以下は、その友人の考えです。
頚椎椎間板ヘルニアについてですが、以前よりお話ししていることと重複しますが、変性疾患である椎間板ヘルニアのような慢性疾患については生活習慣に依存するところが多いと思われます。
ここで、一般的な医学知識的に言うと頚椎椎間板ヘルニアが神経の脊髄もしくわ神経根を圧迫して、脊髄が圧迫されれば中枢神経がやられる痙性と言ってカクカクしたような動きの麻痺が起こり、神経根が圧迫されればその神経に一致した領域に弛緩性の麻痺が起こると言うことです。椎間板が変性し圧迫されることによりヘルニアが飛び出るというのが普通に説明されることではないでしょうか?
しかし、最近EBM(evidence based medicine)といって本当に根拠が正しく治療が有効かを統計的に調べられる傾向がありますが、椎間板ヘルニアは圧力を受けない四足歩行の脊椎動物にも見られ、圧迫を除去する牽引と何もしないのとを比較しても結果が変わらないと言われていますし、痛みの原因としても神経が圧迫されたからと言って、決してその領域に痛みが出るとも言われていません。神経の圧迫をとる手術をしたのとしなかったのでは、短期的な成績は手術が勝っていますが、長期的にはそれほど変わらないとも言われています。MRIでの検査所見と症状が一致しないことや圧迫がなくても同様の症状を訴える患者さんがいることも整形外科の中では常識になっています。確かに急性の頚髄損傷になる方は急激に神経に圧迫や牽引がかかり神経が損傷するわけでそれにより麻痺は損傷レベルに一致しますし、医学的になんの疑問の余地もありません。しかし、慢性的な圧迫によるものでは圧迫があるからと言って症状のない方もおられますし、また、何もなくても同様の症状が出現する場合があります。痺れや痛みの症状が出たからと言ってその時にヘルニアが出現したわけでもないと思われますし、ヘルニアが自然消失する場合もあります。
結果的には現在医学的に慢性疾患の痛みに対して出きることと言えばその場しのぎの対症療法のみかと思います。よほどひどい進行性の麻痺があり所見と一致する場合のみ手術適応にすべきだと僕は考えています。
結論として、運動しても良いかと言うことですが、確かに急な衝撃が加われば脊髄損傷が起こる可能性は変性疾患がない人よりは可能性が高いかもしれませんが、積極的に安静にすれば治るとか、運動すれば悪化するという根拠はどこにもないように思います。まだ若い方であることを考えると今から運動を禁止することは更に生活習慣病になる可能性を不必要に高くするだけで、出来る範囲で運動することは利になっても害になるようなことはない気がします。運動がストレスになるほどやり続けるようなことをしなければ心配ないと僕は患者さんに説明しています。
病気になる人とならない人で生活習慣で異なることと言えば、食事(栄養)、運動、休養(睡眠)、精神的なもの、の何処かに問題があったと考えるべきなので運動をしなかった人がするようになることは良いことだと思います。あと、変えれるとすれば周りの環境くらいですか?(Kojima)
以上です。私の知り合いのボディビルダー、パワーリフターにも椎間板ヘルニアの人を3人知っています。しかし、彼らはマニアックな連中ですから真似はおすすめできません。家族の方に心配をかけないように健康を一番に考えてできる運動を行なえばいいのではと思います。
ただ、この基準、判断はご本人とかかりつけのお医者さん(出来ればスポーツに精通している方がよいでしょう)でおこなうべきですね。
BIG TOE